(3) 上原専禄氏との出会い

1926年1月15日 ペリムより
ヴァルサリチェの神学生へ

この手紙は、紅海で書かれ、「Dal Mar Rosso、紅海から」というすばらしい曲が同封された。文中、後に一橋大学初代学長になった上原専禄氏と知り合ったと書いてある。氏は、ウィーン大学でヨーロッパ中世史および社会学を専攻し、船上で自ら一行に日本語を教えることを提案し、最初の日本語の教師となった。

親愛なるヴァルサリチェの皆さん

恥ずかしくないのか! ここでは日が昇っているのに、君たちはまだ眠っている!(略)ただ今、私たちは沖にいる。どこを見ても空と海!

今回、日本に向かう私たちと上原専禄という方と一緒に撮った写真を贈る。この善良な若い先生は、自発的に、神秘な日本語の美しさを教えてくれると提案してきた。み摂理は、なんと素晴らしい! 私たちは、もう結構なところまで進み、文章も少し分かるようになった。神に感謝! 願わくは、神様が信仰の恵みをもってこの恩人を報いてくださるように。(略)

上原専禄氏と船上で

君たちの兄弟 V.チマッティ神父

上原専禄氏の証言(1969年1月19日の録音による)

「日本語の勉強のお世話をしようと言いだしたのは、私の方からでした。『これはほんとうにみ摂理によるものだ』とすぐチマッティ神父は言われました。それ以来、毎日、1、2時間、日本語の授業をすることになりました。」

      ←前ページへ

目次ページへ

            次ページへ→