チマッティ神父来日80周年コンサート 第二部 歌詞

オペレッタ
『支倉六右衛門常長』
H.Heuvers作詞   1942年 V. Cimatti作曲

支倉六右衛門常長1613年10月、支倉六右衛門常長一行はフランシスコ会のソテーロ神父と共に伊達政宗より遣欧使節としてメキシコ経由でスペインとローマへ派遣された。一行はメキシコやスペインで洗礼を受け、1615年11月ローマで教皇パウロ5世より謁見を受けた。帰国したのは1620年9月キリシタン迫害の最中であった。

このオペレッタは、一行がバルセロナを出てローマへ向かう途中の船の中での出来事を描いている。今回の上演は1942年以来である。その年、東京、東北などで国民歌劇団より何回も上演された。第二幕の一部はスペイン語であった。

第一幕
1  序曲
舟歌
  コーラス
(全員)
ああ
 
  支倉 故国を出でて幾年の月数日数果てしなく思えば遠く来つるかな
  コーラス
(支倉 侍)
君命受けて我々はローマへ急ぐ道々の巡る異国はめづらかに
もののならいは変われども 変わらぬものは天がける 
月の光や星のかげ 雲をいろどる日の光 雲をいろどる日の光
 
  ヒメネス 日の出の国日本の侍 日の出の国日本の侍
イダルゴに その腰なる剣をお見せください
  侍1 日の本の遠き国より 武士の心姿よ
剣こそ 何をも恐れぬ魂を鍛えてつくる 日本の心よ
剣こそ まこと日本の姿なれ
侍はいつもこの剣によって 君に忠なれ 君に忠なれ
 
  侍1 お助太刀申す
  侍2 久しぶりで腕がなる
  侍1 日本刀の切れ味を
  侍2 試すはこの時
  侍1 今 この時 何の海賊 恐るるものぞ 何の海賊 恐るるものぞ
  侍2 日本の侍の腕を見よ
  侍1 そうだ腕を見よ 日本の侍の腕を見よ
  侍2 そうだ腕を見よ
  ヒメネス 早まるな方がた
はるばる来たりし大切なお客 めったに怪我はさせられぬ
イスパニア魂を客(まろうど)たちにお目にかけん
なれもイスパニアのイダルゴなり お控えあれ
 
  支倉 嵐よ来よ 海賊も来たれ われらを恐れず 日本の侍 
わが神イエス われらが船を守りてたもう
  ヒメネス 波が地獄の鬼のように押し寄せる
  支倉 この世のもの すべてデウスの御光もとにいくる
海の波もデウスのもの
  ヒメネス 風が髪をむしろうが
  支倉 どの風もデウスのもの
  ヒメネス 海賊船が近づけり
  支倉 デウスは我ら同胞(はらから)をあわれみたもう
すべては愛し慈しみたもうぞ 慈しみたもうぞ
 
  支倉 今 風強く雨をよび 雲はたけりてわれらを包む  
天 何ゆえに怒りたもうか
イスパニアの都にて 我らすべては神の御子となる
デウスの懐に抱かれて
今 この大切なる君の使命を果たさずや
 
  船長 この嵐はいやだ カランバ 船はまるで木の葉のようだ
  支倉 我々は生死を神に捧ぐ デウスよ われらの命を救いたまえ
  船長 海はインフェルノのようだ デイアボロ デイアボロ バスタ
もう何もかも終わりだ
  ヒメネス おお 呪うべき海よ イダルゴも嵐には勝てぬ
  船長 バスタ
  支倉 わが主よ 龍神(りゅうじん)に命じたまえ
わが友 政宗 この尊き使命を無事にローマへもたらしめたまえ
(グレゴリオ聖歌)
 

 

 

 

Alleluja
Laudate Dominum omnes gentes
Laudate eum omnes populi
Alleluja

すべての民よ、主をほめよ
すべての国よ、主をたたえよ
第二幕
10 序曲
11  
  支倉 我らが旅路は救われん 神の守りに救われん
やがて行かん ローマよ 憧れの神の都よ
無事に伝えん 君の使命を
朝の日が 行く手を輝き
デウスはすべてを みそなわす
  コーラス
(六衛門
  侍1・2)
雲が来て 朝は麗しく輝く 輝く
朝は麗しく いま輝く
12 嵐の歌
  船長 カランバ、イダルゴ! われが今、この刀を使う時だ。
海賊は、間近に近づかん。災いは重ならん。
  ヒメネス 海賊!われらが船に大砲や鉄砲の備えはよいか。
  船長 カランバ!古い武器しかない!
帆を張れ、北の方へ、フランス海岸へ。
見ろ! 怪しい海賊が見えてきた。
運悪く、風がさらに強くなり。雨もすぐに降ってくる。
まるで嵐が来るようだ。おお、見ろ真っ黒い雲。
  ヒメネス 嵐の雲のようだ。
  船長 帆を降ろせ。
海賊はいましも、嵐に巻き込まれてしまいそう。
海賊らに大波が今襲ってくる。
舵を波に向けよ! 海に落ちないように注意しろ。
(嵐に向かって) カランバ! アフリカ風はひどい!
呪われよこの嵐!カランバ、船はまるで木の葉のように揺れるぞ。
海は地獄のようだ!悪魔、ヂャボロ、やめろ!
すべて、全滅だ!
終わりか。終わりだ!
皆様無事か。
  ヒメネス 海も、波も、悪魔の業!
  船長 海賊らどこへ行った? 姿が消えてしまった。
  ヒメネス あれを見よ、船の板にすがる人を。
  船長 あれこそは海賊。神の天罰。
  ヒメネス おーい、海賊。 われわれは海賊と一戦を交える。
(日本人へ)あなた方は大切な人たち、静かに 控えあれ。
13  
  海賊 赦して、赦してください。
I ask your perdon! 英語で Help, help me.
  船長 お前らは海賊だ。私は救えん。
  支倉 四海同胞 海賊とても人の子ぞ
その行いは憎めど その人を憎まぬが日本の教え 
いざ助けてやる
  ヒメネス このお方たちに対してお前らは恥ずかしいと思わんか
このお方は世界の端から 
はるかにこの国へお越し召された。
デウス様の信仰を得たまいし 
同じデウス様のお恵み受けて
何ゆえ海賊などになったのか。 
地獄へ行くべきお前らだ インフェルノ インフェルノ!
  海賊 船長、赦しを!
God forgive my sin,  Dieu me pardone` 神よ、赦しを!
日本の方々、お赦しを!
14  
  支倉 わが日本の侍は慈悲も情けもわきまえる
今 改めるその心は まことに神もゆるすなれ
天地万物 わが主デウス 彼らを救いたまえかし
天照らす日の本 はぐまるる人は みな同胞(はらから) 
いざ全能のデウスはたてよ
15  
  コーラス
(全員)
われらがデウスよ われらのゆくてを輝かしめよ
われらは今感謝したてまつる われらの旅路をつつがなく
ローマへこそは導きたまえ 導きたまえ
憧れローマよ 神の都 君の使命を担いてゆくよ
16  
  コーラス
(全員)
ローマへ ローマへ ローマへ
Cristo risusciti
in tutti i cuori
Cristo si celebri
Cristo si adori
Gloria al Signor
キリストが復活するように
すべての心に
キリストが称えられ
キリストが崇められるように
主に栄光

ローマへ ローマへ ローマへ ローマへ ローマへ!