カルマは教会の近くの森に隠れている。倒れかかっている神々の像を見ながら、信者の歌を聞いている。 |
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10 独唱と合唱 |
独 唱 |
小鳥よ なに求め さえずり続け 飛び行く
迷える子 求め、尋ね探しつ 飛び行く。 |
合 唱 |
戻れ友よ故郷へ 母のやさしい翼へ
帰り来たれ汝(な)が家に 待ちわぶいとしき母へ |
独 唱 |
迷えるいとし児よ 愛の翼を開きつ
待ちに待つ我に 帰り来れよ わが子よ。 |
合 唱 |
前と同じ |
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11 アルジューマとカルマ |
隠れているカルマのところに、仙人アルジューマが現われる、そして、憎しみに満ちている彼の心に、真の愛の意味を諭そうとする。 |
カルマ |
アルジューマ! なつかしき故郷(こきょう)を去りて早や五年、
いか程の苦しみを受けしかを語り得ず。 |
アルジューマ |
そは正義なり。 |
カルマ |
正義? いずこにありや? |
アルジューマ |
神の御もとにあり、神これを計り給う。 |
カルマ |
神の正義は恐るべきなり。 見よ、我はけものの如く
地に這い、空に叫ぶ。 されども我が祈りは聞き入れられず。 |
アルジューマ |
否! しからず。 |
カルマ |
見よ! 我が眼は涙は涸(か)れ、 むせび泣きするあたわず。
くやみの涙すら与えられず。 |
アルジューマ |
カルマよ、その言葉は 神を試みるものなり。 |
カルマ |
神の正義はおごそかに 恐れおののきふるうべし
我には人の亡ぶるを 定め給うとおぼゆなり。
神にして愛あらば いかでか亡び行く我を
望みなきよ世に捨てるべし 恐るべき神の正義。 |
アルジューマ |
されども、人の亡ぶるを 望み給うは道なれり、
亡びに臨む魂を 尊き愛もて抱き寄せ
羊の群れに加うべし。 望むべし愛は すべてを恵む神の愛を |
カルマ |
我もまた望む。 我もまた望む。 |
アルジューマ |
望む!望む! |
カルマ |
されども我が罪は、我が罪は、 |
アルジューマ |
望む愛を! 望む愛を! |
カルマ |
しかり 望む神を。望む神を! 望みは命への歩みなり。 |
アルジューマ |
望みは命への歩みなり。 |
カルマ |
ゆるしを |
アルジューマ |
願え慈悲を |
カルマ |
友よ、祈れ 汝が神に |
アルジューマ |
祈れ 汝が神に 祈りは命への歩みなり。 |
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アルジューマが去って、真の愛を悟れず、まだ刀を握っているカルマがいる森の中に、ブハイ君が遊びに来て、無邪気に歌を歌う。 |
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12 ブハイ(独唱) |
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マリアの森に さえずる小鳥 誰に祈って 歌っているの、
お前をつくった 聖主(みあるじ)さまの やさしい母に 祈っているの マリア マリア マリア! |
カルマは、ブハイ君の腕を捕まえて、以前、神々へのいけにえとしてささげよとした子だと分かる。そして、殺そうとする。ブハイ君は、恐れることなく、敵を憎んではいけないことを教えられたと、また殺されてもカルマを赦す、と言って、そのまま気絶する。その言葉に打たれたカルマは後悔し、自害しようとするが、その時アルジューマが現われて、その手を止める。神は、ブハイ君の態度を通して真の愛を示してくださったではないか、と諭す。その時、マリアの賛歌を歌う信者たちの声が聞こえてくる。 |
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13 独唱と合唱 |
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Magnificat anima mea Dominun 我が心は救いの主に喜び歌う。
Quia respexit humilitatem ancillae suae 大いなる力 我に臨みたり 聖なるかな その御名。
Et misericordia eiu a progenie in progenie 腕(かいな)の御力を現し
おごれる者を散らし給う。
Deposuit potentes de sede うえたる人に よきものを満たし 富める者を 空しくなせり。
Suscepit Israel 世々の御誓い(ちぎり)を忘れず イスラエルの子を 恵み給えり。 |
この時点で、宣教師や信者たちが舞台に入り、ブハイ君がいないことに気づく。そして、現われてきたアルジューマから呼ばれて、ブハイ君を抱いているカルマが入ってくる。それを見て、みな驚く。 |
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14 宣教師、アルジューマ、カルマと群集 |
アルジューマ |
カルマ 来たれ! |
群 集 |
神の御恵み野山にあふれ 平和と正義くちずくる国
再び乱れ 血で血を洗う憎しみの国 カルマもたらす。 |
宣教師 |
恐るるな、わが子らよ 神の業 頼むべし。 |
群 集 |
去れ! 去れ! 早く去れ! |
アルジューマ |
見よ 汝らの司祭を |
群 集 |
我らの司祭はカルマにあらず この司祭こそまことの司祭。 |
アルジューマ |
しかり、すでにカルマは司祭にあらず
見よ、ゆるしを求めて 汝らの友たるを望む。 |
群 集 |
聖なる者よ、まことにあらず、我ら再びあざむかれじ。 |
宣教師 |
愛とゆるしを求める友が いかで我らの仇たり得むや。 |
カルマ |
御身らの疑いと恐れはまことなり。 さすらいの旅路に出でてより
早や五年 見よ!我が体は衰え 眼はくらむ
古の罪は我を責め しばしも憩うあたわざりき。 |
宣教師 |
いたわしや 友よ! |
カルマ |
我を生き永らえしむる希望(きぼう)は ただ一つ… |
宣教師 |
語れ友よ! 我ら聞かん。 |
カルマ |
空のかなた まさやけく 舟路示す海の星。
我が行く彼方 照らしたり 海の星。 |
宣教師 |
海の星 |
群 集 |
海の星 海の星。 |
カルマ |
嵐の夜半(よわ)に ただ一つ 行手を示す海の星
聞けるその名が 我が望み。 |
宣教師 |
マリア! |
群 集 |
マリア! |
宣教師 |
その名 |
群 集 |
マリア!賛えられよ 母の御名マリア
固き心をも 抱きはぐくみ給う。 |
宣教師 |
春の日ざしがヒマラヤの雪 暖めとかし流すごと。
友よ 来たれ。 |
カルマ |
ゆるせ友よ、我が罪をゆるせ、友よ。
我が罪をゆるせ友よ、悪しき夢。 |
宣教師 |
神に願え ゆるし願え おお悪しき夢。 |
群 集 |
大いなる神の業 大いなるマリア |
一 同 |
おお マリア マリア アヴェ。
やさし后 神の母よ
すべての人の望みの母よ
愛の母よ 神の母よ
み使いの后 人の母よ
感謝の歌を受けたまえ
母マリアよ |
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15 フィナーレ |
全 員 |
天の后よ 神の母よ 力求める 子らの祈りに
耳傾むけて 聞き入れ給え 力ある母 強きおとめよ
悲しみなやみに 馳せ来りませ 御力給え 天の后 |
ブハイ |
清き白ゆり 愛燃ゆるバラ
マリアの御名に したいよる我
捨て給わざれ 今もいつも マリア。 |
合 唱 |
御母マリア かおる青葉の もとにたたずみ
御子示しつつ ほほえむマリア
きこし召せ 汝に捧ぐる 我らの歌声をば。 |
宣教師 |
アヴェ マリア たすけませ
我らの御母マリア。 |
合 唱 |
あわれみと 愛にます
天の御母 我が母
アヴェ マリア アヴェ マリア! |
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