日々の霊性   



1946年 タシナリ神父、成増の新事業を始める

1946年 タシナリ神父、成増の新事業を始める

宮崎日向学院の最初の入学式

宮崎日向学院の最初の入学式



   聖フランシスコ・サレジオと聖ヨハネ・ボスコ   


 チマッティ師は聖フランシスコ・サレジオと聖ヨハネ・ボスコをよく研究した。 聖フランシスコ・サレジオは、16世紀のヨーロッパ人に、聖性は誰でも得ることのできる恵みだと教えた。 キリスト者であれば誰でも、自分が置かれている環境の中で、現世的な事柄に携わっていても、聖人になることができる。 現代でも評価され、読まれている『信心生活入門』と『神愛論』という著書の中でその教えを説いている。
 ドン・ボスコは若者を教育する召命を生きるには、聖フランシスコ・サレジオがすぐれた保護者であり、 素晴らしい模範であると感じた。この聖人が見せてくれる善良、忍耐、柔和、賢明な指導などをもって、 オラトリオのいたずらっ子を「誠実な市民、よいキリスト者」にすることができると悟った。 事実、それができたのは、道理、信仰、慈愛という三つの柱に基づく予防教育法によるものである。



   チマッティ師はドン・ボスコをまねた    


 チマッティ師は、この二人の聖人の精神を研究した。そして自分の血肉にし、 教育者、霊的指導者の生活にそれを生かし、日々の霊性を重視した。 それは、よりよく、あるいは聖人になるには、毎日の務めや仕事を、 熱心かつ喜びのうちに、その時その時きちんと行えばよいのである。
 その方法は簡単で、信仰生活を深めようと思う人であれば、誰でもできるのではないだろうか。 ドン・ボスコは霊的にも素晴らしい雰囲気を作ることに成功し、ドミニコ・サビオのような少年聖人の指導者となった。
 チマッティ師はドン・ボスコをまねた。彼はヴァルサリチェでも日本でも、言葉と模範で、 自分が生き、絶えず教えていたものを反映する真面目さ、熱心さ、快活に満ちた雰囲気を作ることに成功したのである。
 彼は折り目正しく、はっきりと人を激励した。 「神様は、私たち一人ひとりが自分のすべての務めをよく果たすことを望んでおられます。 平静さをもって、毎日の務めを果たすようにしましょう」。 務め、すべての務め、小さな務め、毎日の務めという表現に注目すべきである。



   偉大な業を行う必要はありません。小さな道を歩きましょう    


 調布サレジオ神学院で神学を教え、九年間チマッティ師のそばで生活したカントーネ神父は、次のように書いている。 「今晩の日曜講話の中で、チマッティ神父は次の言葉で、サレジオ会霊性の真髄を総括した。 『偉大な業を行う必要はありません。小さな道を歩きましょう。それは、毎日のすべての務めを、素直に、神様のために果たすことです』。 これは新しいことではないが、それをここに記したのは、この言葉で、チマッティ神父が自分自身を定義したと感じたからだ。 チマッティ神父は単純素朴な人で、非常に真剣に、ごく自然に、神のお望みなら、どんな小さなことでも忠実に果たす人だからだ。」
 彼と一緒に生活した主だった人の証言をあげることにしよう。
 「チマッティ神父で一番印象に残っているのは、彼の毎日の務めに対する忠実であった。」
 「チマッティ神父の聖性は恐れを感じさせるものではなく、模倣するように呼びかけるものだった。」
 「彼の聖性は、簡単にまねでき、誰でも身につけることのできる、やさしいものだった。」
 チマッティ師のねらいは、キリスト者として完全な者になる道がやさしく、魅力的なものであることを示すことだった。



   完全な真剣さ    


 ところが、チマッティ師は、誰もがもっている程度の善良さで満足していたと考えてはいけない。 本当は要求が高く、厳しかった。「生ぬるさ」に打ち勝って、自分がよりよい者になるように、理想を高くするように絶えず促していた。 「前向きになって、できるだけのことをしてからでも、あともう少しがんばりなさい」と最善をつくすようによく勧めていた。 自分が実践していた「完全な真剣さ」を理想として皆に提起していた。
 元気と熱心さがないと嘆く人に「完全に神のみ心に寄りすがり、自分を神のみ心に投げ込みなさい」と力強く勧めていた。
 私自身を大分教会の香部屋で、同じようなことを言われたことがある。信心業が終わった時に、 私は、主キリストに対して、特別な魅力を感じないし、どちらかというと、神のみ前にいると、 恐れを感じるとチマッティ師に打ち明けた時、彼は、私を慈しみながら「イエス様のみ心に自分を投げ込みなさい」 と力強く言ってくれた。そこまでする勇気のなかった私は、高い天国よりも低い地面に近い生活をしてきたが、 その時の経験は、ずっと自分を支え続けた。
                                                      レナート・タシナリ神父



                                

                                                         チマッティ資料館
                                                         マルシリオ神父
                                                         令和 7年 3月 6日                                                   


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